このマニュアルにおいて、対応するオペレーティングシステムはFreeBSD(フリービーエスディー)になります。環境の前提として、別のコンピューターから構築するサーバーにLAN接続されていることを想定しています。
サーバーの構築では、対応するさまざまなプログラム(ソフトウェア)をインストールすることになりますが、インストールの手法には以下の二つの方法があります。
バイナリ―インストールはWindowsOSの世界では、もっともポピュラーな手法ですが、FreeBSDやLinuxなどPC-UNIXでは、ソースインストールが一般的です。最近では、各ディストリビューションがバイナリ―形式でソフトウェアを配布していますが、最新版が反映されるのに時間がかかるという理由で、ソースインストールを好む人もいます。また、UNIXの世界ではプログラムの配布は、プログラムを書いたテキストファイル(ソースコードファイル)で行われます。そのような理由から、ここで実践されるインストール手法は、ソースインストールとなります。
閉じたネットワーク(会社や家族の中だけのネット)ではドメインの取得は特に必要ありませんが、外部からメールを受け取る場合はドメインを取得しなければなりません。ここでは、私の取得したドメイン mgfcompany.net で説明します。ドメインは年間千円前後から使えますが、「.net」や「.jp」など種類によって値段が変わります。
インターネット上での各端末はIPアドレス 292.262.355.212 などの数字によって分けられています。あなたが使っている、そのパソコンにもネットに接続されている限り、このような番号が割り振られています。
ここで、あなたが自分のパソコンでウェブサーバーを立ち上げたとします。あなたはお友達に自分のウェブページを紹介するときに、この割り振られている番号を教えることになります。つまり http://234.112.334.111/ のようなアドレスです。
しかしこれだと数字の羅列なので、味気ないと思います。0〜9しかない電話でならともかく、やはりパソコンです。名前を付けた方が、便利であることはだれでも分かるでしょう。そこで考え出されたのがドメインネームです。ドメインについてはさまざまな管理のしくみがあるので、ここでは説明しませんが、ドメインの存在は、アドレスが覚えやすいといったことだけでなく、固定IPアドレスを持たない端末でもダイナミックDNSという技術によってサーバーの公開が可能できるという恩恵を受けることが出来ます。
ここでは、FreeBSDのインストールは詳しくは説明しません。小金丸さんがリリースされている日本語インストーラーからインストールすると大変分かりやすいと思います。 有限会社小金丸コンピュータエンジニアリングサービス
構築の際にネックになるのは、ソースインストールに必要なライブラリーやプログラムが最初からシステムに入っているかどうかです。FreeBSDのインストールの際、目的はサーバーの構築ですから、必要のないパッケージはインストールしない方がハードディスクの使用容量も抑えることが出来るのですが、初心者の場合、そもそもなにが必要かどうか分からないと思います。とりあえずはダイエットのことは考えず、X-windowシステム以外ものを全てインストールすることで、サーバーの構築は大丈夫だと思います。
DaemonToolsはサービス監視プログラムです。なんらかのトラブルでサービスがストップしても自動的に再起動してくれます。また、起動設定が簡単で管理がしやすいので、qmailにはよく利用されます。
構築中のサーバーがインターネットに繋がっているのであれば、必要なソースファイルを直接サーバー機にダウンロードしましょう。まず、インストールの作業場所を用意します。新しくディレクトリー(フォルダ)であれば名前は何でも構いません。
# mkdir /tools/src/
そして、作ったディレクトリーに移動します。
# cd /tools/src/
fetch から続くコマンドをコンソールから入力して、ダウンロードしてください。
# fetch http://cr.yp.to/daemontools/daemontools-0.76.tar.gz
作業用のディレクトリーをルート/に作ります。
# mkdir -p /package
作ったディレクトリーに適切なパーミッションを設定します。
# chmod 755 /package # chmod +t /package
作業用ディレクトリーに移動します。
# cd /package
ダウンロードしたファイルはほとんど圧縮されています。PC-UNIXではファイルを圧縮する場合、どの圧縮ルールを使ったかでファイル名の最後に.ドットから続く圧縮形式名を連ねるのが決まりとなっています。
qmail-1.03.tar.gzであれば、qmail-1.03という名前のファイル(またはフォルダー)がtarという形式の圧縮ルールで圧縮されさらにgzというルールで2重に圧縮されているということになります。2重に圧縮されているのは、この方が圧縮率が高いためだと思われます。
では、ファイルを展開しましょう。tarコマンドを使って展開します。
# tar xvpfz /tools/src/daemontools-0.76.tar.gz
インストールします。
# cd admin/daemontools-0.76 # ./package/install
DaemonToolsをインストールすると、新たに以下のファイルなどが作られます。
csh -cf '/command/svscanboot &'
DaemonToolsはLinux系OSではインストール時に自動的に起動されるようになっていますが。BSD系ではシステムの再起動が必要なようです。再起動するには以下のコマンドを入力します。
# reboot
再起動したら、動作の確認をしましょう。 以下のコマンドを入力して下記のように出力されれば、動作しています。
# ps ux | grep svscan root 27754 0.0 0.7 1484 816 p0 S+ 10:23PM 0:00.01 grep svscan root 339 0.0 0.5 1244 604 con- S Thu03AM 1:39.68 svscan /service
メールの発信基地であるメールサーバーシステムをインストールします。ここで採用するのはシンプルさで定評のあるqmail(キューメ―ル)です。
自動的にインストールされたかもしれないsendmailと呼ばれる別のメールシステムを削除します。とりあえず下記のコマンドをコンソールから打ち込んで、sendmailが住んでいるか確認してください。
telnet localhost 25
ここで、
Trying 127.0.0.1... Connected to localhost. Escape character is '^]'.
などと表示されもとのコマンド入力に戻らない場合、既にsendmailがインストールされていますので、quit と入力して、先ほどのコマンド入力画面に戻ってください。そして直ちにsendmailを削除する行程を行ってください。
Trying 127.0.0.1... telnet: connect to address 127.0.0.1: Connection refused
と表示される場合はsendmailはインストールされていません。されていても実行される設定とはなっていません。qmailのインストールを続けられます。
システム設定ファイルであるrc.confファイルを変更します。
このファイルの環境変数を変更することで、rc.d内にある起動スクリプト(この場合は/etc/rc.d/sendmail)の起動プロセスに変化を与えて、起動のON、OFFができるようですが、sendmail_enable="YES"という文字列がある場合は"YES"を"NO"にしてください。記述がない場合は書き加えてください。FreeBSD5.4は記述がありましたが、FreeBSD6.0には記述がありませんでした。
# vi /etc/rc.conf sendmail_enable="no" ← こうする。
FreeBSD7.0では、/etc/defaults/rc.conf の以下の記述にも変更を加ておきます。
ローカルホストだけで動くMTAが組み込まれているようです。
# vi /etc/defaults/rc.conf sendmail_submit_enable="NO" ← こうする。
もし上記の作業を行っても、25番ポートが使用中のようでしたら、起動スクリプト/etc/rc.d/sendmailを削除してもいいでしょう。
rm /etc/rc.d/sendmail
それから、FreeBSD標準のmailコマンドなどは、/usr/sbin/sendmail を見るので、そこへシンボリックリンクを張って、qmailのラッパーを使うように仕向けます。これでsendmailを前提に動く、コマンドやcgiなどもqmail対応で動かすことができます。
rm /usr/sbin/sendmail ln -s /var/qmail/bin/sendmail /usr/sbin/sendmail
DaemonToolsをダウンロードしたときと同じく作業用のディレクトリーに移動してからfetch から続くコマンドをコンソールから入力して、ダウンロードしてください。
# fetch ftp://ftp.jp.qmail.org/qmail/qmail-1.03.tar.gz
# fetch http://www.mgfcompany.net/free/qmail/qmail-date-localtime.patch
# fetch http://www.qmail.org/qmail-smtpd-relay-reject
では、ファイルを展開しましょう。tarコマンドを使って展開します。
# tar xvfz qmail-1.03.tar.gz
展開が終わると、qmail-1.03ディレクトリーが出来上がるのでそちらに移動します。
# cd qmail-1.03
パッチはソフトウエアを最新の版にしたり、その一部分だけを置き換えて改造したりするときに使うファイルのことです。「パッチを適応する」とか、「パッチを当てる」などといった言い方をします。では、qmail-1.03のソースファイルにパッチを当てて行きます。
# patch -p1 <../qmail-date-localtime.patch
# patch -p1 <../qmail-smtpd-relay-reject
qmailのインストール先を作成します。下記の例はFreeBSDでのコマンドです。他のPC-UNIXの場合はコラムをご覧下さい。
# mkdir /var/qmail
# pw groupadd nofiles
# pw groupadd qmail
ユーザーの作成
# pw useradd alias -g nofiles -d /var/qmail/alias -s /nonexistent # pw useradd qmaild -g nofiles -d /var/qmail -s /nonexistent # pw useradd qmaill -g nofiles -d /var/qmail -s /nonexistent # pw useradd qmailp -g nofiles -d /var/qmail -s /nonexistent # pw useradd qmailq -g qmail -d /var/qmail -s /nonexistent # pw useradd qmailr -g qmail -d /var/qmail -s /nonexistent # pw useradd qmails -g qmail -d /var/qmail -s /nonexistent
qmailをコンパイルしてインストールします。
# make setup check
これで、qmailの実行ファイル群が/var/qmail 以下にインストールされました。
取得したドメイン名、閉じたネットワークなら適当なドメイン名で、qmailの設定ファイルを初期化します。この作業はqmailを使う際必ず必要になります。
# ./config-fast mgfcompany.net ← 自分のドメインネーム
この作業で /var/qmail/control/me と /var/qmail/control/rcpthosts のファイルに、ドメインが書き込まれます。このrcpthostsはここに書かれたドメインしかqmail は受け取りません。(RELEYCLIENTという環境変数が設定されている場合は無視されます)。そしてqmailの動作を決めるいくつかのコントロールファイルが /var/qmail/control 以下に用意されます。コントロールファイルの詳細については、「コントロールファイルの詳細」をご覧下さい。今の時点では気にすることはありませんので、このまま読み進めて行ってください。
qmailの基本部分を起動させるファイルを別名で用意します。
# cd /var/qmail/boot # cp home ../rc
homeというファイルを一つ上層のディレクトリーにrcという名前でコピーします。
つぎにrcファイルを編集します。qmailはデフォルトではmailbox方式ですが、より便利なMaildirという方式にします。
# vi ../rc
vi は標準のテキストエディターです。最初は編集モードで起動しますので、文字を書くときは任意のカーソル位置で[i]キーを押し、書き込みモードに移行してからタイプします。書き終わったら[esc]キーで元の編集モードに戻ります。文字を消すときは編集モードで消したい文字の上で[x]キーを押します。変更をセーブして終了するには、編集モードで[:wq]を入力します。
exec env - PATH="/var/qmail/bin:$PATH" \ qmail-start ./Mailbox splogger qmail ↓ exec env - PATH="/var/qmail/bin:$PATH" \ qmail-start ./Maildir/
sploggerから続く文字列はログを取るときに設定です。今回ログはdaemontoolsを使用してログを記録するので、この部分は削除します。
スクリプトファイルに記述する場合、改行した方が見やすい場合は\マークを記述し次に改行します。これはエディターでは表示上改行されますが、スクリプトファイルとして実行される場合は\マークの次にくる改行コードは無視される仕組みになっています。 文字コードによってはうまく無視されない場合がありますので、出来るなら1行で書きましょう。このページでは、横サイズの文字数が溢れる場合には同じルールに従って\マークをつけています。
セキュリティ強化のために推奨されているtcpserverをインストールします。このtcpserverは、qmailへ接続要求があった場合、RELEYCLIENTという環境変数を見て、接続してきている相手のIPアドレスがそこに書かれていれば接続を許すというものです。qmailではpop認証ソフトウェアと組み合わせて使います。
ucspi-tcpをダウンロードします。
# fetch http://tools.qmail.jp/ucspi-tcp/ucspi-tcp-0.88.tar.gz
展開して移動します。
# tar xvfz ucspi-tcp-0.88.tar.gz # cd ucspi-tcp-0.88
make してインストールします。
# make
# make setup check
これで、/usr/local 以下にtcpserverのツール群がインストールされました。
qmailにpop認証を加えるには、認証プログラムが必要になります。認証プログラムにはいろいろなものがありますが、UNIXのユーザーを追加しなくても、メールのユーザー管理がしやすい、vpopmailをインストールします。
vpopmailをダウンロードします。
# fetch http://jaist.dl.sourceforge.net/sourceforge/vpopmail/vpopmail-5.5.0.tar.gz
展開して移動します。
# tar xvfz vpopmail-5.5.0.tar.gz # cd vpopmail-5.5.0
vchkpwというユーザーグループを作ります。
# useradd -g vchkpw -u 89 -d /home/vpopmail vpopmail # pw useradd -g vchkpw -u 89 vpopmail
これで、グループvchkpw ID89 に所属するユーザーvpopmailが出来ました。
# mkdir /home/vpopmail # chown vpopmail:vchkpw /home/vpopmail # chmod 755 /home/vpopmail
UNIX系のソースインストールでは、コンパイルする前にconfigureというスクリプト(簡易プログラムみたいなもの)を実行する必要のあるものが多くあります。ここでは、qmailにvpopmailの持つPOP Before SMTP機能と連携させるためにconfigureで以下のように設定して、コンパイルします。
# ./configure --enable-roaming-users=y # make # make install-strip
POP Before SMTPは、POPサーバーがユーザーを認証した際にそのIPを環境変数REALYCLIENTに記録するものです。記録されたこの環境変数は、tcpserverにより参照されpop認証を通過したユーザーだけが、SMTP(配送)サーバーの使用を許されるという仕組みです。
環境変数RELAYCLIENTに記録されたIPには有効時間があり、vpopmailのデフォルト設定では3時間となっていますが、configureで以下の文字列を追加すれば、指定した分数の時間にできます。
--enable-relay-clear-minutes=1/2
これであれば3時間の2分の1、1時間30分になります。
tcpserver用のDBファイルを作成します。これには、tcpserverのツール、tcprulesを使います。その前に置き場所を作りましょう。
# mkdir /home/vpopmail/etc # cd /home/vpopmail/etc
DBファイルの元になるtcp.smtpというテキストファイルを作ります。
# echo "127.:allow,RELAYCLIENT=""" > tcp.smtp
DBファイルに変換します。
# /usr/local/bin/tcprules /home/vpopmail/etc/tcp.smtp.cdb \ tcp.smtp.tmp < tcp.smtp
UNIX系のOSにはcron(コロン)という一定周期で自動的に実行する仕組みがあります。これを使って、定期的に環境変数RELAYCLIENTをチェックし、有効時間が切れていればIPを消去するように設定します。下記のコマンドをタイプすると、自動的にテキストエディタが起動し、cronの設定ファイルを開きます。
# crontab -e
下記のとおりにタイプして保存します。
これを説明しますと
分 時 日 月 曜日 コマンド
の順になっていて、上記の例では、毎分40分にclearopensmtpというコマンドを実行するという意味になります。
以上でメールシステムに必要なプログラムはすべて組み込めました。あとは起動の設定と実際にユーザーを登録して送受信チェックをします。
/var/qmail/control 以下にはqmailの挙動を調整できる制御ファイル群があります。
qmail-smtpdはSimple Mail Transfer Protocol)(SMTP)の規定に従って、メールを受信します。この受信には、同じようなメールサーバー(MTA)からのメールも、リモート送信者MUAからのメールも受信します。そして、それぞれのメールをqmail-queueに登録し、ローカル(自サーバー管理ドメインのユーザー)へのメールボックスへの転送や、リモート送信であれば、再び外部の宛先を管理しているMTAに接続への手配をします。
qmail-queue により登録されたメールはqmail-sendが処理を行います。ローカル(自ドメインまたはヴァーチャルドメイン)受信者あてのメールはqmail-lspawnを呼び出し、リモート宛の受信者(外部ドメイン)へはqmail-rspawnを呼び出します。
mgfcompany.net:mgfcompany.netになっていました。
qmail-injectは読み込んだメールメッセージに、ヘッダ部分に情報を追加(前処理)をして,qmail-queueを呼びます。
リモートホスト(外部SMTPサーバー管理のユーザー宛)にメッセージを送ります。このqmail-remoteは、実際にSMTPを使って、相手のサーバーへ接続します。
domain:relayrelayの部分には、ホスト名(またはローカルIPアドレス)が入ります。私の環境では、server.mgfcompany.netといってserverというホスト名を付けていますが、MTAはこれしかありませんので、経路指定は必要ありません。もし、mail.mgfcompany.netという別のマシンがあれば、そちらを経由させることができます。
例 mgfcompany.net:mail:26:26はポート番号を25ではなく別のポートを使い場合の設定です。
起動スクリプト自体は、/var/qmail/にservicesというディレクトリーに置きます。
まず、ディレクトリーを作ります。
# mkdir /var/qmail/services/ # cd /var/qmail/services # mkdir qmail # mkdir smtpd # mkdir pop3d # chmod +t /var/qmail/services/qmail # chmod +t /var/qmail/services/smtpd # chmod +t /var/qmail/services/pop3d
次にスクリプトを作成します。それぞれ、qmail、smtpd、pop3dの各ディレクトリにrunというファイルを作成します。
# vi qmail/run
#!/bin/sh PATH=/var/qmail/bin:/usr/local/bin:/bin:/usr/bin exec /var/qmail/rc
以上を入力し保存終了します。同じように残り2つのスクリプトも同じように作成します。
# vi smtpd/run
#!/bin/sh PATH=/var/qmail/bin:/usr/local/bin:/bin:/usr/bin exec tcpserver -H -R -l mgfcompany.net -v -x \ /home/vpopmail/etc/tcp.smtp.cdb -u \ <qmaildのUID> -g <nofilesのGID> 0 smtp \ /var/qmail/bin/qmail-smtpd 2>&1
<qmaildのUID>と<nofilesのGID>の部分に対応する番号を書きます。
例 <qmaildのUID> → 1002
<>は要りません。
qmaildのUIDやnofilesのGIDを調べるにはidコマンドを使います。
# id qmaild
# vi pop3d/run
#!/bin/sh PATH=/var/qmail/bin:/usr/local/bin:/bin:/usr/bin exec tcpserver -H -R -l mgfcompany.net -v 0 pop3 \ /var/qmail/bin/qmail-popup mgfcompany.net \ /home/vpopmail/bin/vchkpw /var/qmail/bin/qmail-pop3d Maildir 2>&1
mgfcompany.netの部分は、ご自分のドメイン名をつけてください。
スクリプト類は実行権を付けなければ起動できません。以下のコマンドをタイプして実行権を設定します。
# chmod +x /var/qmail/services/qmail/run # chmod +x /var/qmail/services/smtpd/run # chmod +x /var/qmail/services/pop3d/run
ログ用の起動スクリプトも用意します。
# mkdir qmail/log # vi qmail/log/run
#!/bin/sh exec /usr/local/bin/setuidgid qmaill /usr/local/bin/multilog t \ /var/log/qmail
# mkdir smtpd/log # vi smtpd/log/run
#!/bin/sh exec /usr/local/bin/setuidgid qmails /usr/local/bin/multilog t \ /var/log/smtpd
# mkdir pop3d/log # vi pop3d/log/run
#!/bin/sh exec /usr/local/bin/setuidgid qmailp /usr/local/bin/multilog t \ /var/log/pop3d
以下のコマンドをタイプして実行権を設定します。
# chmod +x /var/qmail/services/qmail/log/run # chmod +x /var/qmail/services/smtpd/log/run # chmod +x /var/qmail/services/pop3d/log/run
保存先がないと、起動しないので忘れずに用意します。
# mkdir /var/log/qmail # chown qmaill:nofiles /var/log/qmail # chmod 700 /var/log/qmail
# mkdir /var/log/smtpd # chown qmails:nofiles /var/log/smtpd # chmod 700 /var/log/smtpd
# mkdir /var/log/pop3d # chown qmailp:nofiles /var/log/pop3d # chmod 700 /var/log/pop3d
Daemontoolsの管理するディレクトリー/service から、これまでに作った起動スクリプトにシンボリックリンクを張ります。Windowsで言えば、ショートカットの作成と同じようなものです。
# ln -s /var/qmail/services/qmail /service/qmail # ln -s /var/qmail/services/smtpd /service/smtpd # ln -s /var/qmail/services/pop3d /service/pop3d
起動確認にために、Daemontoolsのコマンドを使います
以下のコマンドをタイプして、起動時間がちゃんと経過しているかをチェックします。もし、起動時間が0であったり、1であったりする場合は、起動に失敗しています。スクリプトやディレクトリーなどのパーミッションをもう一度チェックしてください。
# svstat /service/qmail /service/qmail: up (pid 351) 1685292 seconds # svstat /service/smtpd /service/smtpd: up (pid 355) 1685330 seconds # svstat /service/pop3d /service/pop3d: up (pid 358) 1685358 seconds
メールシステムが問題なく動いているかチェックします。
バーチャルドメインを作成します。作成にはvpopmailでインストールされたスクリプトを使います。
# cd /home/vpopmail/bin # ./vadddomain mgfcompany.net 管理者用パスワード
ドメイン名にはご自分で取得したドメインを、管理者パスワードには任意の英数字を指定してください。
バーチャルドメインを追加すると、/var/qmail/control/ 以下の各コントロールファイルに設定が追加されます。コントロールファイルについては、後で説明します。
/var/qmail/control/locals /var/qmail/control/rcpthosts /var/qmail/control/virtualdomains
スクリプトをコンソール画面で実行するには、相対または絶対パスを指定します。通常テキストファイルを開くためにファイルを指定する場合、現在のカレントディレクトリーにファイルがある場合は、パス指定は要らないのですが、スクリプトの場合はなぜか指定がいるようです。現在のカレントディレクトリーにスクリプトがある場合は、「./」を先頭につけて、現在のディレクトリーを明示するようにします。
# cd /home/vpopmail/bin # ./vadduser ユーザー名@mgfcompany.net ユーザーパスワード
バーチャルユーザーを作成すると以下のファイルと設定が追加されます。 /home/vpopmail/domains/ドメイン名 /home/vpopmail/domains/ドメイン名/postmaster/Maildir /home/vpopmail/domains/ドメイン名/vpasswd /home/vpopmail/domains/ドメイン名/vpasswd.cdb
MUAとはみなさんが、一般的にパソコンで使っているメールソフトのことです。 これらメールソフトで、サーバーが正常に機能しているか確認します。
アカウント設定で以下の設定で接続してください。
SMTPサーバー mgfcompany.net popサーバー mgfcompany.net ID ユーザー名@mgfcompany.net パスワード *******
まずは、POP Before SMTPは正常に機能していることを確認するために、メールを送ってみてください。宛先は、ご自分の別の(外部メールサーバー)のメールアドレスがいいでしょう。携帯メールだと確認も簡単ですが、携帯会社のメールサーバーはダイナミックDNSサーバーからのSMTP接続を拒否している節があり、テストに使えない場合があります。
エラーメッセージが表示されて、送信ができない(メールサーバーが受け付けてくれない)なら正常です。もし送信できてしまったなら、設定を間違っています。
次に、受信してみてください。なにもエラーが出なければ正常です。
そして、もう一度、さきほどのテストメールを送信してください。無事に送信完了となったらひとまず成功です!
# ./vdeluser ユーザー名@mgfcompany.net
# ./vpasswd ユーザー名@mgfcompany.net パスワード
今回、メールサーバーの構築にはバーチャルドメイン&ユーザーが使えるvpopmailを使っているのですが、ここで、バーチャルなドメインと普通のドメインの違いを明確にしておきたいと思います。
ドメインは割り振られたIPアドレスと対を成すものです。mgfcompany.netというドメインは必ず数字のIPアドレスになります。しかし、実際のところ一つのIPアドレスで複数のドメインに対応させることができます。例えば、mayutarou.net などというドメインを取得し同じように、DNSサービスに登録すると、全く違うドメインで同じIPアドレスのコンピューターにアクセスすることができるのです。ここで、サーバーの方に手を加えればウェブサーバーでもメールサーバーでも、参照されたドメイン名に従って、動作を変えることが出来るのです。また、別のドメインを取得しなくても、既に取得したドメインからの派生であれば自由に、ドメイン名を増やすことも出来ます。
例えば、doc.mgfcompany.net とか、
メールであれば ユーザー名@x68k.mgfcompany.net
という感じになります。
ほんとうは、一つの名前しかないはずなのに、いくつものあだ名を持っている、それがバーチャルドメインと言えそうです。
Daemontools下でのソフトウェアの停止と再起動は実に簡単です。
# svc -d /service/qmail
# svc -u /service/qmail
自動起動しないようにするには、/service/サービス名/のディレクトリーにdownというファイルを作ります。中身はなにもなくて構いません
# touch /service/サービス/down
svc -d コマンドで一時停止させて、サービスディレクトリーにdownファイルを置いておけば、当面止めておく分には大丈夫です。再起動させれば監視自体もしなくなるのでメモリーも節約できます。でも、サーバーを再起動させたくないという場合があると思います。そういうときは以下の方法を使います。
# svc -d /service/サービス # svc -d /dervice/サービス/log
サービス名の先頭に.(ピリオド)を付けます。
# mv /service/サービス /service/.サービス
# svc -x /service/.サービス/log # svc -x /service/.サービス
これで、完全にサービスを削除できました。
# vi /var/qmail/control/smtproutes :auth.gate-on.net:587
vi /var/qmail/control/alias/.qmail-default # だけ頭に記入して セーブ chmod 644 /var/qmail/alias/.qmail-default chown alias:nofiles /var/qmail/alias/.qmail-default
以上、メールサーバーのインストールを駆け足でお送りしました。これで、とりあえずは第三者中継もされず、健全に運用して行くことができると思いますが、トラブルへの対処や、こうしたい! などの要求も出てくると思います。さらに役に立つ情報を、備忘録として、また紹介して行きたいと思います。